【連載】バックアップの真実
第6回 「ストレージガバナンスとは」

-- 今回のテーマ「アーカイブ」 --

"アーカイブ"という言葉は、このメルマガの至る所で何回も出ている言葉なので、いつも使っているOneNoteで検索!お~、本連載メルマガの「クライアント・バックアップ」第8回、第9回では何回も出てきます。よしよしと、検索結果をどんどん追いかけて、このメルマガのヒントはないかな、と見てみると、あるスクラップしたWEBの記事の中で「バックアップしたデータをアーカイブする」という表現に出くわしました。

これは、バックアップという操作で「バックアップされたデータ」という状態になったデータが「アーカイブ」された状態に状態遷移した、ということを意味します。一見何気ない表現ですが、非常に大事な意味を持っているので、ここからグイグイと深掘りをしてみます。

私は、米国の人気テレビドラマシリーズの「ドラマ24」の大ファンです。最新のシーズンⅥはあと3巻で全て見終わるところですが、このシリーズの最初のいくつかのシリーズでは、時々、「アーカイブしたか」という言葉が出てきます。ドラマ24の舞台であるロサンゼルスのテロ対策局では、膨大なデータがリアルタイムで収集、分析されています。あまりにも膨大なので、時々アーカイブしないとコンピュータの処理能力の低下を招くようです。アーカイブされたデータは様々な証拠を含むので非常に重要です。証拠を隠滅したいテロの陰の首謀者は、そのデータの改ざん、破壊を実行しようとします。

ドラマ「Xファイル」では、古びたキャビネットの奥深くにしまわれた"Xファイル"が主役です。Xファイルには、おかしな訳の分からなかった話が満載ですが、そんなファイルをしっかりと分類して保存してあるなんて本当でしょうか。日本では社会保険庁の年金問題にもあるように、捨ててあってもしょうがない、むしろ、後から出てきて困るような物は捨ててしまえ、 なんて考えもあると思いますが、ファイリングの先進国であるアメリカなら、きっとXファイルも保存してあるに違いありません。

どちらの話でもデータはアーカイブされた状態で保管されています。電子的なデータであろうが、紙というデータであろうが同じです。Xファイルのように、その存在そのものがどんなに物議を醸し出そうが、そのアクセスが禁止されることはあっても消去されることは、少なくともドラマの中では無かったと思います。

アーカイブされたデータの中身が、ある人、ある組織にとって不利なものであろうが無かろうが、アーカイブの価値は変わらないと思われます。アーカイブされたデータの価値は、時間、人、組織等の評価軸によって変わってくるので、リアルな、必要以上の操作が加えられていないデータをアーカイブしておくこと自身に将来的に価値が生じるかもしれません。

記憶装置のコストが劇的に下がってきているので、世の中で発生していることを何でもそのまま記録しておくことが可能になるかも知れませんが、そうなると目的(何が目的なのか分かっていればまだまし、大抵は、その目的自身がよくわからない)によって、どれだけ効率的にアーカイブの中身を検索し、すばやく取り出せるのかが重要になります。

アーカイブされた状態のデータに必要な要件は、永続性、改ざん不可能、検索性、網羅性、アクセス性、そして低コストのようなものが考えられます。

データがどんな媒体に置かれるのかは、アーカイブとは直接関係ありません。アーカイブデータの価値が直接評価できるなら、それに見合った媒体に置かれるだけです。でも、どんなデータがどんな評価軸でその価値を計ることができるのか、ということを考えるのは非常に難しいことなので、絶対的な正しさがあるようなデータは極々限られたものだけ、かも知れません。 これはもう少しじっくり考えましょう。

だからこそ、アーカイブに対するポリシーを決めるために、ガバナンスという考えが重要になります。でも、ガバナンスも時代と組織の変化に伴って変わります。そして、アーカイブされたデータに対するガバナンスの考えもきっと変わります。

(あ~っ、ちょっと溜息)

アーカイブされたからといって不変であることを保証されたわけではないので、適切な再評価サイクルを回します。評価サイクルが回らないとどうなるか。データの価値に見合わないデータの維持コストがITシステムの予算を圧迫します。

次回テーマは「ディザスタリカバリ」です。



DSF データ・マネジメント・ソリューション部会
株式会社エクサ 恋塚 正隆
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