バックアップと言えば、ディスク?テープ?クラウド?
それともこれら全て?


Jason Buffington
Storage Magazine 2016年2月号より

 

貴社のニーズによりフィットする、データ保護メディアの組み合わせとは?

データ保護の方法について目下議論が進行中だ。話題の中心は「ディスク、テープ、クラウド」である。もちろん、クラウドはデータ受け渡しの仕組みであって、媒体ではない。それに、クラウドプロバイダーもまたディスクやニアライン・テープを使っている。

とはいえ、企業ではバックアップに実際のところどんな種類のメディアとアーキテクチャーを使っているのだろう?ESG社の調査によると、最も一般的なやり方は依然としてディスク・トゥ・ディスク・トゥ・テープ(D2D2T)であるという。別な言い方をすれば、プライマリ・ディスクからデータをバックアップし、次に効率的な重複排除と高速で粒度の細かい復旧を行うためにセカンダリ・ディスクを利用する。そして最後に、長期保管用に三次媒体のテープを使う。ESG社が調査した企業の26%が、データ保護手法としてこの方法を使っているという。

他の16%は別な手法を選択している。ディスク・トゥ・ディスク・トゥ・クラウド(D2D2C)である。D2D2Cのユーザーは、高速かつ粒度の細かい復旧が必要なときはセカンダリ・ディスクから行えることを確認したうえで、テープと同様に三次保管用としてクラウドにデータを送っている。この二つの手法の長所短所は一般的に、法令順守と関係している。企業が長期保管しなければならないデータの量によって、クラウド対テープのどちらをその用途に当てるかが決まることが多いようだ。

さらに他の17%は、ディスク・トゥ・テープ・トゥ・テープ、即ちテープをオンサイトの復旧用に使い、別なテープは保管およびBC(事業継続)/DR(災害復旧)用にオフサイトに置いておくという手法を選択している。興味深いのは、今日最もよく使われているデータ保護手法の2番手として来ているのが(少なくともアンケート回答者の中では)、データ保護を全てテープで行うシステムだということだ。

とはいえ、回答した企業の残りは「全ディスク」型データ保護手法を選択している:

ディスク・トゥ・ディスクによる高速オンプレミスデータ保護、ただし三次保管や遠隔地保管は行わない(14%)
WAN経由で別ディスクという形態のディスク・トゥ・ディスク(11%)
WAN経由で別ディスクだが、こちらは中央一元型のバックアップで、支店・遠隔地オフィスのデータを本社データセンターに集めるタイプ(6%)
ディスク・トゥ・テープ、例えば昔ながらのテープバックアップ(6%)

ディスク・トゥ・クラウド(4%)

 

どんなユーザー事例でもこの中のどれかのデータ保護手法には当てはまるだろう。まさに、そこが肝心なところだ。ある会社の復旧目標、保管要件、経済性から見た優先順位など、全ての要素がデータ保護手法の決定の際に考慮されなければならない。

私は、遠隔地オフィスのクラウドバックアップが好きだが、その会社の復旧要件によっては、それを使わずにデータを本社に送り返す方法*訳註を取るかも知れない。私はまた、クラウドによるエンドポイント・デバイスのデータ保護が好きだが、それはIT部門が処理を監視している限りは、という条件付きだ。また、クラウドをストレージとしてだけでなく、クラウド側の計算機能を利用している企業にとって、クラウドは、被災時に切り替え可能な、BC/DRを支援する魅力的なシステムだろう。

さらに私はテープのファンである。特に、保管が法令で義務付けられている企業や2年以上データを保管する企業にとって、テープは有用である。

とはいえ、ディスクはデータの保護と復旧にとって最も重要な手段といえるだろう。これが、復旧用高速オンサイト・コピーなしには、現在のSLA条件を満たすことが(無理とは言わないまでも)難しいからである。

ESG社でも同様のレポートをしている:

73%の企業が、復旧の第一ティアとしてディスクを使っている。この数字は将来、多少上がるはずだ。
とはいえ、69%の企業がデータ保護戦略全体の中で、ディスク以外のものを使っている。およそ半数(49%)はデータ保護用になんらかの形でテープを使い、20%はクラウドを使っている。
回答した企業の23%が、テープだけを使い、4%がクラウドだけを使っている。テープのみを使用している企業の数は、今後多少減るかも知れない。クラウドのみを使用している企業の数は、今後多少増えるかも知れないがそれほど大幅には増えないだろう。

 

テープだけを使っている企業の中には、効率と厳格なSLA条件を満たすために、ディスク+テープのモデルへと進化していくものもあるだろう。しかし、この目標を実現しようとすれば、純粋なクラウド・プラットフォームがディスクやテープに取って代わることはないだろう。データの高速復旧、信頼性の高いデータ保管、敏捷性・生存性の提供という点について、ディスク、テープ、クラウドは、それぞれが独自の特徴を持っている。

ここに上げた項目が貴社のデータ保護目標に入っているのであれば、三つの方式全て/全メディアタイプをデータ保護戦略に取り入れたほうがよいだろう。

訳註:巨大データを復旧する場合、回線経由のデータ転送では間に合わないため、テープやディスクのメディアだけでなく、サーバーやアプライアンスごと本社に送り返すケースもあることを筆者は述べている。

(完)

 

Jason Buffingtonは、Enterprise Strategy Groupのシニア・アナリスト。データ保護、Windowsサーバー基盤・管理・仮想化を専門にしている。CentralizedBackup.comでブログを書いており、@Jbuffでtweetしている。

 

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