10GigEストレージ・ネットを構築する(前編)
著者:Dennis Martin
Storage Magazine2012年7月号より
10Gbps Ethernetが数多く製品化され、市場に登場してきた。そのため、大部分のストレージの現場が1GigEから10GigEにステップアップするのは時間の問題だ。
多くのデータセンターが、ラップトップコンピューター、デスクトップコンピューター、ファイルサーバー、アプリケーション・サーバー間の通常のローカル・エリア・ネットワーク(LAN)を扱うのにギガビット・イーサネット(1Gbps)-あるいは1GigE-をいまだに使っている。しかし現在、多くのアプリケーション・サーバーおよびファイルサーバーが、複数枚の1GigEネットワーク・インターフェース・カード(NIC)を使っている。全体として、より大きな帯域幅が必要だからだ。これらのサーバーで4個、6個あるいは8個の1GigEポートを目にするのは珍しい事ではない。いくつかのポートは管理用として使われ、それ以外のポートは、ファイル・ストレージまたはブロック・ストレージのトラフィックを含むネットワーク・フローに充てられている。仮想化の導入が増えるにつれて、より大きなネットワーク帯域幅が必要であることが明らかになってきた。
実は、このソリューションは数年間、データセンターの奥深くに身を潜めていたのだ。10ギガビット・イーサネット(10GigE)の技術は、その名が示すとおり、ギガビット・イーサネットより10倍速い。また、実際今を遡ること10年前の2002年に、すでに標準規格として批准されている。しかしその販売価格は非常に長い間あまりにも高く、最初の数年間、10GigEは、高帯域のための高価格が認められるデータセンターのコアネットワークに導入されていた。
当初、10GigEは、ネットワークのトラッキング接続に、主にスイッチ間接続として使われていた。初期の10GigEの実装には、光ファイバーや特殊なカッパーケーブルを必要とする、従来とは異なるケーブリングやコネクターの技術が使われていた。何年もの間、10GigEでは、我々がギガビット・イーサネットで慣れ親しんでいるのと同じタイプのケーブルが使えなかったのだ。
増大する10GigEの使用
とはいえ、過去数年間、10GigEはネットワークスイッチだけでなく、アプリケーション・サーバー内にも設置されるケースが増えてきた。価格はまだやや高いが、10GigE技術が提供する1ポートあたりの単価は、多くの企業が採用するのに十分な程下がってきた。この2~3年の間に導入されたブレード・サーバーの多くが、ブレード筐体に入ってくるネットワークと出ていくネットワークの帯域全体の幅を広げるために、2枚またはそれ以上の10GigEポートを筐体内に持っている。つい最近では、10GBASE-Tが導入され、我々が今日ギガビット・イーサネットで使われているおなじみのCat5eやCat6ケーブルと非常によく似たケーブルやコネクターを使って、10GigEの技術を利用できるようになっている。
サーバーとSSDが加速する10GigEの導入
2012年の前半、10GigEの導入を促進することが期待される、もう一つの出来事が起こった。大手のサーバーベンダーが、オプションとして10GigEのポートをマザーボード本体あるいはドーターボード上に持つインテル社の最新のサーバー・プロセッサー(Intel Xeon ESシリーズ、以前は"Romley"として知られていた)を組み込んだ新しいサーバーを発表したのだ。個々のサーバーにメーカーが提供するオプションとして10GigEを持つことにより、10GigEへの移行は多くの企業にとってより容易でかつ魅力的なものになるだろうと期待されている。
サーバーの仮想化がネットワーク帯域の需要を促進している事に加え、半導体ストレージやSSD技術もまた、CPUとネットワークの使用を加速している。様々なフォームファクターのSSDがより広範に配備されるのに伴って、ストレージのパフォーマンス(IT基盤の中では最も低速なパーツのひとつ)も増大し、他の技術にも波及効果をもたらしている。我々は自分たちのラボで、SSDと10GigEは相性が良いことを確認している。
これら全ての要因に基づいて、ネットワーク市場を観察している業界アナリストの何人かは、これから3~4年の間に10GigEの市場の伸びについてかなり強気の予測をしている。Demartek Labにおいて我々は10GigEを必要とする、あるいはあることが望ましいような、サーバー/ストレージのハードウエア/ソフトウエアの数を増やしたテストを実行中である。
<9月号に続く>
著者略歴:Dennis Martinは1980年からIT業界で仕事をしてきた。コンピューター業界アナリスト団体兼テスト・ラボでもあるDemartekの、創立者兼会長である。
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