ITアーキテクトのひとりごと
第79回「バックアップとアーカイブを区別するのはシステムではない。」
JDSFではバックアップとアーカイブは違うと言っています。データ保護のポリシーとしては明らかに違うものですが、実現手法はいろいろです。
例えば、
生命保険の請求をしようとしたら保険会社から記録がありません、と言われたら大変ですが、そんなことが起こる心配はほとんどありません。過去に保険請求に関連する様々な社会問題が発生したせいで、保険加入者には定期的に保険加入状況の確認案内が郵便で届いているはずです。保険証券を無くしたとしても、保険会社はしっかり覚えています。
保険会社が保管している保険加入データはバックアップされているのか、アーカイブされているのか。まあ、どっちでもいいですが、
大事なことは記録が無くならないことです。
保険に加入していることを示す記録は永久不滅な方法でバックアップされているはずです。つまり、アーカイブされています。永久不滅な方法って何でしょうか。
サインして印鑑をついた紙。たぶん、どこか安全なところに保管されています。
ITシステムに保管されたデータは、ディスクか、テープか。。。わかりません。どれが安全かは、どんな仕組みのディスクシステムなのか、テープ複製と保管の状態等に大きく左右されます。
一度書いたら消せないような仕組みを持ったディスク装置や必ず複数コピーを作るディスクシステムもありますが、バグで消えてしまうかもしれません。バグがあっても絶対消えないという仕組みがあるかどうかが重要です。
WriteOnceの光ディスクは手堅い方法だと思いますが、ちょっと難しくなってきました。テープは光ディスクの次に手堅い方法のような気がします。
バックアップとアーカイブの違いを考えるときは、データの寿命も重要な要素です。一般的に100年後もデータが必要ならアーカイブとしてシステムを考えますが、バックアップの仕組みとして100年後もデータの保証が出来る、というなら、それは立派なアーカイブシステムです。
ただ、光ディスクやオフサイトに置かれたテープを”間違って消す”ことは絶対できませんが、仕組みの中で実現しているだけのアーカイブの場合は、間違って消す、バグのせいで消えてしまう、という一抹の不安はぬぐえません。
ものは考えようで、バックアップシステムとアーカイブシステムの違いは、ビジネスの寿命、データの寿命とデータ損失時のリスクをどの程度受け入れることが出来るかというポリシー次第のような気がします。
株式会社エクサ 恋塚 正隆