ITアーキテクトのひとりごと
第76回「エコ、最適化→重複排除→そしてオブジェクトストレージへ」
世の中にはエコを標榜して省電力、省エネ、再生可能という技術、製品が沢山ある。
省電力を考えるために家庭の電力を調べると大量の電気を使用しているものは、冷蔵庫、エアコンだ。次にテレビ。どのくらいの電気を使っているのか簡易ロガーで調べてみたことがある。
電気の使われ方を見える化するだけで、省電力にしなければ、というモチベーションは上がるので、見える化は大事だ。
スマートグリッドは再生可能エネルギーが大量に導入される場合の制御の問題を解決する方法だが、いろいろな機能を付けて電気の使い方をモニターする機能まであるようなので見える化で電気の使い方を考えるには良いチャンスだ。
新しい製品はどんどん省電力化しているので、新製品に変えるだけでも省電力を達成することができる。LEDライトは劇的に省電力だが、価格がまだ高いのが玉にきず。一度に買い替えると懐が痛いので、少しずつ少しずつ買い替える。
どんどん省電力にし過ぎると、電力使用量が減りすぎるので電力会社が困る。電気代が上がって電気料金は減らない。
さて、ストレージの世界を見てみると、エコ技術の筆頭は、あらゆる製品に取り入れられている重複排除技術。次に圧縮技術にオブジェクトストレージというところかな。
圧縮技術は昔からあったが、あまり目立たない存在だ。
これらの技術はストレージの容量を減らす、減らすことができなくても急激に増えていかないようにする。こんなことを実現する。
圧縮だけでは減らすのにも限界がある、ということで重複排除技術の登場だ。
そしてオブジェクトストレージ。
アマゾンKindle Paper Whiteで大量の電子ブックを読んでいるが、オフラインで読むためにKindleにダウンロードされる電子ブックのデータは、不要になればいつでも削除できる。そして必要になればネットワークからダウンロードする。
この電子ブックは、オブジェクトストレージに蓄えられたオブジェクトのようなものだ。10万冊売れたとしてもアマゾンの中央ストレージに蓄えられているデータはたかだか数十メガバイトだろう。千冊程度の売れ行きでも容量はそんなに変わらないし、維持管理のコストも超低コストのはずだ。
Kindle端末は必要な時だけデータを蓄えるエコ端末なので、大きすぎるストレージ装置を備える必要はない。その分、端末は軽く小さく、そしてダイナミックにプログラム可能になっている汎用端末だ。
これらの技術は大量のモノ、エネルギーを消費する社会を存続可能にするための技術の一つだ。
箱ものとしてのストレージではなく、ソフトウエアで実現される圧縮、重複排除、オブジェクトストレージ。
大量生産、大量消費もそろそろ限界ということで、別の付加価値を生み出す動きのひとつだ。電気製品の省電力、そして、スマートグリッドと似たような話の展開になってきている。
ITシステムもどんどんコンパクトになり、企業や個人からオフロードされてデータセンターに急速に集積しつつあるが、増えるデータセンターのキャパシティと早晩、釣り合いそうだ。
なぜそう思うかって?ここ数年の私の周りのITツールがどんどん小さく、そして、ストレージ容量があまり増えなくなっているからだ。
超大容量データセンター、ネットワークで世の中が変わる。
株式会社エクサ 恋塚 正隆