ITアーキテクトのひとりごと
第75回「オブジェクトストレージで世界が吹っ飛ぶかも。。。」

 

かれこれ2年以上ディスクを買っていない。足りなくなっているというわけでもないので全く気にしていなかったのだが、ビジネス分野はともかく、個人的なディスクニーズはここ数年は完全に飽和しているようだ。

データ容量無制限のクラウドバックアップサービスを長年使っているが、だいぶ前に、このメルマガで報告したバックアップデータ量50GBを超えてから増えていくデータ量はわずかなものだ。不要になったデータを削除したり(持っていてもどうせ役に立たないし、邪魔なので削除している)、必要になったらネットからダウンロードすればよいファイルはクラウドにバックアップしておいても意味ないし、あまりにも巨大な単一ファイルはクラウドにバックアップすることがそもそも無理だし。こんな感じなので増えない!

最近は、ちょっと古臭くなりかけているオブジェクトストレージという言葉を(ようやく)ボツボツと目にするようになったが、私の持っているファイルもクラウドの中でオブジェクトストレージとして管理してくれれば、その僅かな識別用のID情報だけをローカルストレージで管理することで事足りるものも多い。そうなればローカルストレージは激減する。

そのデータが必要な時は高速インターネットでダウンロードすればいい。個人が作り出したユニークなデータはそれほど多くは無い。ほとんどは資料としてみるためにダウンロードしたり、PDF化したりしているだけなので、オブジェクトストレージが汎用化すれば、ストレージ装置が激減しかねない。

それでも、広義のストレージの付加価値の総量は増えていく。ハードウエアの大きさとしての付加価値は減り、利用価値としての付加価値はドーンと増える。こうなると単なるハードウエアメーカは淘汰されることが明白だ。

本をクレジットカードで買ったら、その本のデジタル本も100円で見られるよ。こんな風に、クレジットカードと関連付けられた個人識別IDが、デジタル本のオブジェクトIDと関連付けられて、いつでもネットで見られるのは時間の問題のような気がする。

本というコンテンツ、アプリの付加価値が超ローコストのストレージとネットワーク、そしてCPUを使って100円アップするなんていう、上手い話が転がるようになる。

大げさに言うと、オブジェクトストレージという技術を使うことで、コンテンツこそが一番大事なんだ、ということを再度認識させることになる。

こんなことを考えながら、ふと我に返って自分の周辺を見回してみる。

2.5インチタイプのSSDは容量が1TB に到達。2.5インチHDDは3TB。3.5インチHDDは10TBだ。2.5インチHDDを使うと19インチラックの2Uサイズで物理容量60TBをはるかに超える容量、3.5インチHDDなら3U で100TBを超えることになる。

CPUもストレージも高集積化して、中堅企業なら全サーバリソースが19インチラック一台に収まってしまう勢いだが、データセンターの増設はいまのところ留まることを知らない。

何がどうなっているのかわからないが、世の中が急速に変わっていることだけは確かなようだ。


JDSF データ・マネジメント・ソリューション部会
株式会社エクサ 恋塚 正隆