ITアーキテクトのひとりごと
第73回「Chromebookとビッグデータ。ストレージ・ワールドを振り返る。」
先日、家のWindows7 PCが起動しない、ということで修理をすることになった。MyPCではないので、バックアップの最新版はちょうど一年前。最近はスマホ中心の生活をしているのでほとんどの活動ログはスマホに格納されている。修理でデータを失うとしても、ひどい被害は発生しないだろう、ということで少しは安心して修理に取り掛かることになった。
スマホとPCが決定的に違うのは、スマホの全てのデータはスマホのキャリア側のストレージやFacebook等のサービスプロバイダ側のストレージに保存されているので、壊れても失うものがないことだ。
操作はそれなりに難しいこともあるが操作をサポートするサービスが安価に提供されていたりするので楽ちんだ。すっかりと家電品なみに簡単になってしまった。いや、それどころか、これまでの家電品を超えたサービスを提供するモバイルする家電品だ。
それに比べて、とうとうPCは最後まで家電品なみに進化できなかった。
データがPCと一心同体になっていることが家電品になれなかった大きな阻害要因だが、ChromebookやSurfaceProのような新しいタイプのパソコンが登場することで、ようやくパソコンが家電品になれそうな可能性が出てきた。
Chromebookのように、そもそも手元の機器にデータを持っていなければ、駅の階段で落として踏みつけられたとしても、すぐに近所の家電量販店に行けば大丈夫。ちょっと高価だったけどスマホよりも安い。
SurfaceProはビジネスユースもターゲットにしているのでローカルストレージはちょっぴり必要。でもネットワークストレージも無料で大量についてくるよ、という絶妙なスタンスで、私も次はSurfaceProが欲しい!
パソコンという言葉も、新しい端末にふさわしくないので別の呼び名が必要だが、決め手がない。
結局のところ、PCが家電品になれなかった最大の阻害要因はストレージを内蔵していたことにあったので(ちょっと一方的な決めつけですが。。)、レガシーなコンピュータという発想を打破できない人には家電品を作るのは、やはり無理だったんだと納得。
私のMyPC環境の重要なデータのほとんどは4,5年前からクラウドに存在するので、PCが燃えてしまっても致命的なデータ損失は発生しないが、Chromebookのように簡単にはリカバリはできない。
一方、データを機械から離したところに置くことでPCは家電品になれそうだが、それとは正反対のシステムがある。
ビッグデータの世界では、データが巨大であればあるほど、機械、つまりCPUの傍にデータを置く必要がある。大量のデータと大量のCPUを脳の神経細胞の網の目のような高密度なネットワークに自在に配置しないと大量データ処理ができない。
人間の脳は、情報の入出力装置を頭の周りに集中させて効率的な情報処理を行っているが、ビッグデータのシステムは情報の入出力装置を極端なまでに拡張、強化したシステムだ。
ビッグデータの世界では、集めたデータを複製してアーカイブすることすらデータが多すぎて大変なものがある。生活用品の一部となってきたニュータイプのPCと正反対のビッグデータ・システム。両極端なシステムが登場してきたということは、コンピュータ・ワールド、ストレージ・ワールドが進化した証拠なんだと思うと、妙に納得、安心してくる。
株式会社エクサ 恋塚 正隆