ITアーキテクトのひとりごと
第67回「ストレージを面白くする次のアプリケーションは何?」
ストレージの面白そうな話題がないかどうか、Googleってみたり、情報サービスで調べてみたりするが、あまり無い。システムのストレージ容量は増え続けているが、もう、それは当たり前のことなので何の注目も浴びることが無い。
もう2回も「無い」と言ってしまったので、3回目を言わないように注意しよう。
そういえば、「Archival Disc」という光ディスク規格が3月に発表されたが、Disc1枚あたり300GBという容量にはインパクトが足りない。DVDの容量と比べれば非常に大きな容量である「300GB」にインパクトを感じない自分が特別に鈍感であるとは思えない。大容量であることが世の中のデファクトになり、しっかり体に染み付いてしまった。
「Archival Disc」を考えた人にはちょっと申し訳ない。
スマホのメモリスロットに使わなくなったガラケーのメモリカードを入れてみて、はたと気づいた。スマホのお試し付属品にはガラケーで使っていたメモリカードより一桁以上も容量が大きい4GBのメモリカードが粗品で付いている。
古いメモリカードは、すぐに外し、壊してからゴミ箱へ。
512GBのメモリを載せてDBサーバを高速化した某社のサーバが定価1000万円を超えているのを見つけた。ちょっと高すぎるんじゃないかと思った時、1、2年前に200GBほどのメモリを載せたPCサーバを提案したのを思い出して振り返ってみる。
超高速化される処理と巨大な処理能力を考えると、定価はともかく、そんなに高い買い物ではなさそうだ。同じ処理能力をレガシーな方法で実現しようとしたら、仕組みを考えるだけでも大変、さらにハード、ソフトの費用も、それにシステムインテグレーションの費用もお高くなるのは明らかだ。
いったいどんな処理をこんなサーバでやるのか?という興味もあるが、エンドユーザのアイデア、ビジネス知見に係ることなので、世間一般に知られることは少ないと思われる。時々公開される事例を見て、抜群のコストパフォーマンスが可能だとこんなことができるんだと感心することしきり。
いままでシステムが高価すぎてできなかったことが簡単にできるようになる。
ハードウエアの世界だけでなく、クラウドの世界でも、ITインフラの構築が大変でなかなかできなかった挑戦的なビジネスが、クラウドの高度で巨大なリソースのおかげで簡単に実現できるようになった。
Archival Disc も、それでどんな新しいことができるようになったのか、というアプリケーション視点で考えてみる必要がある。さて何だろう。
巨大なCPU、巨大なメモリ、巨大なストレージ、そして巨大なネットワークが、某社のスローガンのように、未来を "Inspire the Next" しているが、我々ベンダー、SIerは、いろいろと困ったことになり、もっと頭を絞らないといけない事態だ。
さて、停止すれば何も保持する必要なものが無いCPU、メモリ、ネットワークに比べて、大きすぎるストレージの重要性はますます大きくなり、さらにバックアップも大事になってきたが、ストレージの抜群のコストパフォーマンスを生かしたバックアップテクニックで乗り切る。
私が持っているストレージは 99.98% が無くなってしまっても良いデータだが、巨大なビジネス、クラウドの世界では無くなっても良いデータの割合は、はたして何パーセントだろうか。
株式会社エクサ 恋塚 正隆