ITアーキテクトのひとりごと
第41回「ファッションモデル富永愛が口にするハードディスクの供給不足」
タイの洪水の影響でハードディスクの供給に影響が出ていると日曜日の午前11時台のJ-WAVEのニュースが報じている。車ではいつもJ-WAVEを聞いているが、このチャンネルでこんな話を聞くとは思わなかった。しかも喋っているのはファッションモデル&DJの富永愛だ。喋っている本人も何やら怪訝そうな雰囲気なので理解しているかどうか怪しい。彼女がニュースで伝えるほど、私が知らない間に世の中ではそんな一大事になっていたとは。どこの誰がこのFM ニュースでこのネタを流そうなんて考えたのだろう。しかも、ニュースとしてはちょっと遅れているんだけどね。
ちょっと考えてみる。FM放送のディレクタの誰かがこのネタを選んだに違いない。その人はきっとディスクの値段が上がって困っているのだろう(と勝手に決めつける)。私と同じようにドスパラに行ったら、数ヶ月前には1万円以下だった2TBの3.5インチディスクの値段が数倍になっていることに気づいたというところか。タイの洪水にはさして興味は無くても、いざ購入しようとしたハードディスクの値段があまりにも高くなっている。ドスパラのお兄さんからその理由を聞 かされ、初めてタイの洪水とハードディスクの関連性に気づいたのかもしれない。
3.11 の大震災でサプライチェーンの重要性が世の中に繰り返し繰り返し報じられ、サプライチェーンのことをさして気にもしていなかった人達にまで重要性が浸透しつつあったところに、タイの洪水でまたまたサプライチェーンの重要性に気づかされる、ということで今年はサプライチェーン業界にとっては災い転じて福となすような年になった、のかもしれない。
でも、気づかされた問題にどのように対処するのか、しないのか。効率化を追求した結果としてのサプライチェーンが脆弱だとしても、その脆弱性をよしとして効率化したのだから、どんなトレードオフがあったのか、その判断の理由を知りたい。責任を追及するわけでは無いが、どんなトレードオフが列挙され、どんな理由で今のシステム、仕組みがあるのかは、事例研究としては興味深い。特に深くは考えていませんでした、という話も大歓迎だ。そんなにキチキチと考えていたら大変だからね。
米軍の調達品の中に、中国製の大量の不良部品が含まれていたというニュース(真偽不明)も10月か11月頃に報じられていたが、グローバル化されたサプライチェーンは深く深くどこに何が組み込まれているのかわからない、という複雑さの一面を示した。米軍といえどもサプライチェーンのグローバル化がもたらす、ある種のリスクには逆らえない。
さて、サプライチェーンの最適化の計算は1日一回のバッチで行うという時代は終わりつつある。1日に何回も何回も大量のメモリと大量のCPUを使った最適化計算が行われているが、さらにリアルタイム・オペレーション(リアルタイム・ビジネス)に進みつつあるらしい。
スマホのGPSをオンにして歩いていると、リアルタイムで右前方30mにスタバがありますよ、左40mにドスパラがありますよ、と無駄口を叩く機能を宣伝し ているようなCMがあるが、こんなことにリソースを使ってキャッチセールスまがいのことをしてまで何か売らんかなというのは疲れる世の中になったもんだ。この機能をオフにしているとスマホの利用料金が割高になるなんていう料金政策が出やしないかと気になる。
CPU、メモリ、ディスクとそこにデータを供給するセンサーネットワークのコストが相対的に安くなっているので、一見面白そうであれば簡単に「やっちゃってみたら」というノリが通用しそうなところが凄い。テクノロジーに汲々とするのは、もうお終いが近づいている。
株式会社エクサ 恋塚 正隆