ITアーキテクトのひとりごと
第37回 「ストレージ管理技術はクラウド・ストレージやクラウド・データセンターの中でコモディティ化されるのか」
ディスクのイメージコピーを取得するSnapShot技術が登場してから随分と経つ。実装としては、それをRAIDシステムのハードウエアレベルで行うのか、OSに組み込んだミドルウエアで行うのかという2つの方式があるが、さらに利便性を追求したCDP(Continuous Data Protection)という技術も登場している。
これらの技術が登場したおかげでデータの可用性が大幅に向上したが、使いこなすためにはデータベースも含めたアプリケーションの視点での「データの可用性」とは何か、「業務継続」とは何かを決めておく必要がある。これらの技術は登場して時間が経つが、今でも、決してコストの安いものとは言えないので汎用的に使われるには至っていないという残念な現状だ。
更に革新的な技術が登場して、これら技術がコモディティ化するというプロセスも、ユーザー層が広がってコストダウンが進む、というプロセスも無いというのは、これらの技術が特定のニーズに偏っているからなのかもしれない。
CDPほどの高度な複製技術を使わなくても、単純なファイルレベルの複製技術で事足りるアプリケーションも非常に多い。少なくともオフィスワーカーのレベルでは単純な複製レベルの技術で十分だ。事実、私の一日の締めくくりの仕事はファイルの増分をファイルサーバに複製することだ。万が一、一日分の仕事の結果が無くなっても、このくらいなら何とか短時間でリカバリできるので、滅多に発生しない重大事故に対して必要以上のコストをかけることはない。
家のPCのバックアップは、今ではすっかりクラウド・ストレージ任せになっていて何の心配も無いが、それに比べて会社のPCのバックアップは心許ないので何とかしてほしいが、本当はセキュアな統合ファイルサーバやコンテンツ管理サーバが理想的だ。
とにもかくにも結局は費用対効果の問題だから、コストの高い技術は、そのコストに見合う適用領域にしか普及しないという、鶏と卵の議論になってしまうのはちょっと悲しいが、それでも世の中は回っている。これらの状況がずいぶんと長いこと固定化しているというのは、ストレージ領域の技術革新が低調であることの裏返しでもあるので、ベンダーにはもっと発憤してもらいたいと言いたいところだが、面白いアイデアのネタは転がっていない。
クラウド・ストレージやクラウド・データセンターという超集約された大規模ストレージの中に高度なストレージ管理技術がインテグレートされ、ブラックボックス化されることで皮肉にもコモディティ化されるという結末になってしまうのか。
株式会社エクサ 恋塚 正隆