【新連載】ITアーキテクトのひとりごと
第32回 「クラウドストレージへ行ってしまった私のデータ」

 

家庭用のNASが登場してから6,7年経つがはたして普及したのか。PCのディスク容量の増加にバックアップディスクの容量が全く追いつかない。NASを買おうかどうか逡巡している間に、そのNASがどんどん陳腐化してしまう、その間隙を縫ってクラウド・ストレージが広まってきた。企業のデータをクラウドに預けるかどうかは、いろいろと議論があるようだが、とうとう私のPCのデータはクラウドストレージのどこかに行ってしまった。

 

2種類の無料のクラウドサービスとひとつの有料のクラウドサービスに自動で格納されていく私のデータ。これでデータの保護は万全だとは思っているが、本当に一番大事なデータは貸金庫に入っているほんの僅かばかりのデータに過ぎないところが、ちょっとばかり悲しい。

 

さて、クラウドストレージの料金設定は微妙な設定になっているのでサービスを購入しようかどうか迷うが、バックアップ用ディスクの維持管理が無くなる、泥棒に盗まれる心配も無い、火事に遭って何もかも無くなる心配も無い、ということでサービス購入を決定。同期型バックアップの動きが少しおかしいという問題を除けば、サービスを使い始めてから僅か一、二ヶ月ですっかりイージーな環境に慣れてしまった。

 

楽ちん楽ちん。クラウド・ストレージに限らずクラウドサービスの多くは、こんな楽ちんな環境を提供するはずなので、普及しないはずが無い。「適材適所が大事」なんて言う人がいるが、どんな場合だってそんなことは当たり前なので、「ええ、そうですよね」と受け流しておく。何が自分にとって大事なのかという指標さえしっかりしていれば、どんなサービスだって、どんどん使っていけばいいんだ。楽ちんにならないクラウドサービスなんてものがあったら、そんなものは偽クラウドサービスなので止めてしまおう。

 

クラウドサービスは、ハードビジネスからサービスビジネスへのビジネスチェンジだ。異業種、ベンチャーが入り乱れて下克上を狙っている。誰にでもチャンスがありそうで誰が飛び出してくるかわからないところが面白い。

 

ハードビジネスでは目が無かったベンチャーがニュービジネスを開拓するチャンスだ。既存ベンダー、サービス事業者も、これを座視していると、いつどんな災いが自分に転じてくるのかわからない。こんな、いつ自分の会社が終わってしまっても不思議じゃない状況が発生しつつあるので、自分の今のビジネスを否定するようなことでも挑戦するしかない。それとも、お金があるなら手っ取り早く買収でもやって、自分のポートフォリオを広げておく。

 

挑戦しないと、少なくとも明るい未来は待っていないようなので、できることは何でもやっておこう。今は一月数ドルでサーバを借りることもできるので、ベンチャーでも個人でも、やりたいことに挑戦してみるには良い環境が整った。こう考えるとクラウドの時代って楽しそうだ。

 

 



JDSF データ・マネジメント・ソリューション部会
株式会社エクサ 恋塚 正隆
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