【新連載】ITアーキテクトのひとりごと
第17回 「想定外は当たり前。そこにビジネスがある」

休みにもかかわらず、よしっとばかりにチョッピリ早起きし、例年行っているいつもの耳鼻科に季節性インフルエンザの予防注射に出かけた。いつもとちょっと様子が違うと、事前に家の奥さんから聞いてはいたが案の定、「もうワクチンがありません」とのつれない返事。例年よりも生産量が減っていることは知っていたが、自分がこんなことに直面すると、ちょっとおおげさだが、"これがパンデミックなんだ"と思わず苦笑し、受付の女性に笑顔で"じゃあまた"と挨拶してすごすごと帰宅。

タイミング良く夜のニュースで「季節性インフルエンザのワクチンが足りない」と報じられている。いつもは予防注射をしないような人が新型インフルエンザへの心配が高じて"季節性インフルエンザのワクチンでも打っておこうか"という行動をしているらしい。

人々がいつもとちょっと違う行動パターンを示すとシステムが簡単に破綻してしまう。こんな例は社会の中には幾らでもある。電気、水道、交通、通信、流通。。。そしてITシステムだって一定の制約と予測の範囲内でしか機能できない。そして、その予測を超えたときにどのように対応するのかという行動計画は、ITシステムでは、いわゆる"非機能要件"としてまとめられている。ものによっては何があっても機能し続けることが機能そのものなんだ、ということもあるので非機能要件とは何かをよく考えておかないといけない(非機能要件という言葉自身が適切でないのかも知れない)。

さて、我が家に最近導入されたものは、地デジ対応のテレビ、地デジ対応に変更したCATV、そして1Gbps対応の光ファイバサービスだ。仕事の世界では今や1Gbpsのネットワークなんて普通になったが、我が家のネットワークは100Mbps、無線は54Mbps、そしてPCも100Mbpsなので 1Gbpsなんて宝の持ち腐れだ。光ファイバサービスで映画を見ませんか、と誘われたが、デジタル化したCATVサービスの多チャンネルだけでも持て余しているので丁重にお断りした。

でも、1Gbpsなんて使い切れないだろう、なんて思っていても知らない間に使い切っているかもしれない。折しも、またまたテレビのニュースが「KDDI が日米間の光ファイバを陸揚げ」と報じている。これで容量が20%アップだそうだ。アメリカとの間で、そんなに沢山インターネットを誰が使っているのかしら、と他人事のように言う妻に「あなたがいつも使っているグーグルもきっとアメリカにデータがあるよ(多分)」と言うと、「へぇ~」と"わたしはそんなに沢山使っているかしら"という感じで言う。そして偶然にも、さっき覗いた日経BPビズボードのリンク先には、このKDDIが引いた日米間の光ファイバのスポンサーの一人がグーグルとある。ほぉー、そうなんだ、と独り合点してしまう。ひょっとすると日本のISP(インターネットサービスプロバイダ)にもグーグルが出資しているんじゃないのかな、という疑問も浮かぶ。

ほぉ-と感心している間もなく、2,3ヶ月前の技術雑誌を整理していると、某社のCDN(コンテンツデリバリネットワーク)に関する技術解説記事を見つけたので、さっきのグーグルのこともあり、再度じっくりと読みふける。

う~ん、テレビとインターネットと雑誌が実にうまくコラボしているな。偶然にしてはうまく出来すぎている。でも、これは本当に偶然の組み合わせだ。偶然でこんなことが起こるなんて凄い!インターネットのせいでテレビや雑誌、新聞がダメになるというニュースがあるが、そんなことは無い(はずだ)、と、またまたここで独り合点。

JDSF データ・マネジメント・ソリューション部会
株式会社エクサ 恋塚 正隆
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