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【新連載】ITアーキテクトのひとりごと
第14回 「沢山のオプションと責任転嫁」
TechTargetの記事「PCのHDD圧縮は果たして行うべきか否か」(http://techtarget.itmedia.co.jp/tt /news/0906/23/news03.html) というタイトルを見て、何か変わったことでも言っているのかと、ついフィッシングされる。しまった、この業界にいる性だな。「行うべきか」なんて言うほど決定的な論点があるとは思っていないけど、他人の考えを知っておくことは大事だ。CPU性能か、ディスクI/O性能か、CPUは余っているのか、ファイルは大きいか小さいか、アーカイブとして保存するのか。
使い道も含めてトレードオフがあるので一概には言えないという、当たり前の話だ。私のバックアップ用のポータブルディスクには暗号化された圧縮ファイルシステムを使って大量の技術資料が格納されているので、暗号化と圧縮のオーバーヘッドは、いちおう考慮する必要がある。そうは言っても、まあ、こんなもんかなと選んだ暗号化強度と圧縮率。バッチ的な処理だし、ポータブルディスクの容量は大きいので圧縮率は考えずにデフォルトでも選んでおく。デフォルトという言葉に騙されて、それ以上は考えていない。でも、デフォルトという言葉に騙されてトラブルこともあるので、デフォルトって、必ずしもユーザへの親切心で言っているのではない(ことがある)と肝に銘じておくことが大事だ。
それにしても相変わらず、せっせと技術資料を集めているのでバックアップ時の同期処理時間はバカにできない。最近は処理時間が長くなってきたような気がするが、処理時間の開始と終了がログに残っているわけがない。気のせいか、いやいやそんなことはない。いつ頃から遅くなってきたのか、原因と呼べるようなものがあるのか、なんてわかるわけがない。PCには、そんなシステム監視ソフトは入っていない。
サーバでは、その気になれば、大量のログを吐き出させ、記録し、分析することで、そんな性能低下の予兆を検出することが出来る。そのようなシステムを作っていても、定期的に稼働状況をチェックするルーチンワークと、それを報告するワークフロー、異常がでるとパカパカと光るパトライトがないと、つい、見過ごしてしまう。光っているパトライトは無視できないでしょ。人間なんてだらしないから、やらざるを得ないような強制力が働かないといけない。
システム運用管理にも第三者的な監査、監視が必要な理由は、人間がいい加減な生き物だからなのか、それともシステムが繊細で脆弱だからなのか。本当は適当にうまくやってくれよ、と言いたいが、システムはそれほどタフではないらしい。
HDDを圧縮するかしないか、なんていう問題も「適当にうまくやってくれよ」という問題のような気がする。圧縮する?どのくらいの圧縮率で? これって決めた私の責任なの?
やだな~、そんなのわかるわけないでしょ。
こういうのを責任の転嫁と言う。
オプションを沢山用意しておいて、選んだのはお前だ、なんて言うのは卑怯じゃない?これは言い過ぎかも知れないが、ITシステムも、もっと進化して、本当に大事なことだけを人に聞いて欲しい。
まだまだ修行が足りんぞ。
JDSF データ・マネジメント・ソリューション部会
株式会社エクサ 恋塚 正隆
株式会社エクサ 恋塚 正隆
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