【新連載】ITアーキテクトのひとりごと
第13回 「使い古されたディスクの廃棄でバチが当たる?」

5月はオフィスにある古いサーバをスクラップ。取り外して保存しておいたディスクも含めて6,7台の3.5インチディスクを廃棄することになった。「80Gバイトのディスクがあるんだけど、誰かいらない?」と聞いても、「そんなもんいらない」と誰もがつれない返事。コンパクトなデスクトップマシンには3.5インチディスクが1台しか入らないものが多いので、80Gバイトじゃ、OS入れて、残りはどのくらい、となると話にならない。外付けディスクに仕立てるとしてもケースは2000円前後かかる。ダメだ。

ということで、80Gバイトのディスク2台も含めて、全部バラバラに分解、破壊を行った後、廃棄物入れにポイッ。その中に、ディスク容量が記載されていないディスクが一台。ST32151N。んっ?記憶にないな、と、グーグルで検索すると何と2Gバイト、ぜ~んぶで2Gバイトしかないディスクが後生大事に保管されていたぞ。しかも、サーバマシンの中に電源コードを抜かれておきっぱなしだ。このディスクの歴史をたどるだけでも、ここ十年(いや7,8年かな)ぐらいの語るも涙の歴史が出てくる。

2Gバイトなんて、今では1000円以下のUSBメモリの容量だ。さて、2Gバイトでも動いたOSって何だろう。いまではとても信じられないような気がするが、確か、WindowsNT3.5やWindowsNT4.0は動いていた。そうそう、私は、WindowsNT4.0Serverの稼働環境を今でも持っている。WindowsNT4.0Serverで動いているアプリケーションがまだあるので、"今でも大丈夫かな"と気軽にお客さまから聞かれ、" えぇっ、んっ~と、それは。。。"と答えて作った検証環境がそれだ。そうはいっても、今時、WindowsNT4.0Serverが稼働するハードウエアが簡単にそこら辺に存在するわけがない。秋葉原でスクラップ同然のマシンを探さないと手に入らないということで、VMware Workstationの環境上に作ったWindowsNT4.0。

VMwareのイメージの大きさは、わずか792Mバイト。最近のOSはどれもこれも馬鹿でかいので、この小ぶりな大きさは、今となっては驚異的だ。これなら、2Gバイトのディスクに入りそうなOSサイズだ。このOSはコンパクトだが、インストールは大変だった。そもそもPlug&Playなんていう、今となっては死語(当たり前)になっている機能が無いので、ドライバソフトウエアを設定するのも???と"はてなマーク"が3個も付いてしまう。 Plug&Playのお陰で、インストールがどれだけ簡単になっているのか痛感させられた。

それから間もなく、ファイルサーバの調子が悪いらしいということで、すわっ、大変だ、いま係わっているプロジェクトの関連ファイルをローカルにコピーしようとすると、いつまでもコピーが終わらない。なんだよ、とファイルサーバのせいだと思っていたら、折り重なった画面の下の方に「ディスクが一杯です」の警告。何!本当だ。慌てて、必要ないと思うファイル、ディレクトリを消す、消す、消す。消しても消しても、なかなかディスク容量が空かない。 沢山のディスクを廃棄したバチが当たった。

ファイルサイズの膨張を甘く見ていたようだ。最近のプロジェクトは、何だか馬鹿でかいファイルを沢山しまっているものが多いので、何気なくコピーしているとディスク使用量が急膨張するようになってきた。「なぜ、こんなものをファイルサーバにしまっているんだ!消したら」と言うことも大変なので、ファイルサーバのディスクはひたすら大きくなる。棚卸ししようなんて考える限界をどんどん超える。

De-dupe(重複排除)だけじゃない、もっと上手にファイルサーバを管理する方法が必要だ。 もう~、本当に何とかしてくれよ。

JDSF データ・マネジメント・ソリューション部会
株式会社エクサ 恋塚 正隆
第1回 「グリッド・コンピューティング」
第2回 「De-dupeとReplication」
第3回 「コンテンツとアプリケーションの分離」
第4回 「人類が消えた世界」
第5回 「PCが家電品になる日」
第6回 「浸透するクラウド・コンピューティング」
第7回 「魔法の"上書き保存"ボタン」
第8回 「取り残されたストレージ」
第9回 「クリアデスクを実現するイメージング技術」
第10回 「ファイルサーバの進化を際だたせるアプリケーションはどこだ?」
第11回 「今こそ、ストレージ・ガバナンスを考える時代だ」
第12回 「レゴブロックの入れ物と化すデータセンター」
第13回 「使い古されたディスクの廃棄でバチが当たる?」
第14回 「沢山のオプションと責任転嫁」
第15回 「劣化しないデータ」
第16回 「PCIDSSで基盤技術者としての経験値アップ間違いなし」
第17回 「想定外は当たり前。そこにビジネスがある」
第18回 「クラウドサービスにデータを預ける」
第19回 「むやみに暗号化をやりすぎると自分の首が絞まる」
第20回 「ポータブルって本当に便利」
第21回 「サービスと仮想化の関係」
第22回 「クラウド・サービスの不安とサービス品質」
第23回 「頑張れ、電子ブック!」
第24回 「仮想化、クラウドがキーワードに入っていない提案書は没
第25回 「アウトソーシング」
第26回 「ファイルサーバの『見える化』 ~プロローグ~」
第27回 ファイルサーバの『見える化』 ~「見える化」を推進するエバンジェリスト~
第28回 「ファイルサーバの『見える化』 ~「見える化」への遠い道~」
第29回 「仮想化ブームのお陰で、ようやくリソース管理が定着?」
第30回 「キャパシティ計画を必要としないシステム設計」
第31回 「IOPSのジレンマ」
第32回 「クラウドストレージへ行ってしまった私のデータ」
第33回 「災害に備えるITは効率的になる」
第34回 「ITの効率化と真のモビリティが実現した先に待ちかまえるモノとは」
第35回 「想定不足」
第36回 「デジタル記録の時代の新たなリテラシ」
第37回「ストレージ管理技術はクラウド・ストレージやクラウド・データセンターの中でコモディティ化されるのか」
第38回「ビッグデータはとうの昔から当たり前だったストレージ業界の悩み」
第39回「ビッグデータの活用の主役はどこ?」
第40回 「クラウドストレージのSLAはどうなる?」
第41回 「ファッションモデル富永愛が口にするハードディスクの供給不足」
第42回 「3.11東日本大震災が加速するクラウド」
第43回 「ビッグデータ時代の救世主-SSD」
第44回 「アーカイブ、クラウド、大事なデータを守るのは結局は自己責任に尽きる」
第45回 「ソーシャルとビッグデータ」
第46回 「なぜバックアップに時間がかかる」
第47回 「IOPS性能では腹が一杯にならない」
第48回 「ユーザに最適な情報を送り届ける?」
第49回 「コモディティ化の次に来るモノ」
第50回 「修繕計画を立てないITシステム」
第51回 「文脈棚」
第52回 「私の標準Goodsに取り込まれる次のモノ」
第53回 「二度あることは三度も四度もある」
第54回 「デフォルト値」
第55回 「お気に入りを見つけ出す方法」
第56回 「シュリンク」
第57回 「ITのコモディティ化をどうやって乗り越える」
第58回 「ビジネスを実現するクラウド時代に必要なエンジニア」
第59回 「3.11の長期記憶」
第60回 「風化」
第61回 「3度あったことは4度目は無い?」
第62回 「リスク管理」
第63回「データ構成比から自分を見つめる」
第64回「ビッグデータは誰のもの」
第65回「いまやこの技術抜きにはITシステムを考えられない:重複排除技術」
第66回「私がスマホに変えた理由」
第67回「ストレージを面白くする次のアプリケーションは何?」
第68回「大量処理を高速にする方法」
第69回「忘れてしまったこと、これから忘れてしまうこと」
第70回「大容量ディスク登場で考えてみた。クラウドストレージって何だ。」
第71回「ビッグデータ。アイデアが大事だけど、ビジネス化はどうする」
第72回「サービス終了」
第73回「Chromebookとビッグデータ。ストレージ・ワールドを振り返る。」
第74回「重複排除とは何かを振り返ってみると」
第75回「オブジェクトストレージで世界が吹っ飛ぶかも」
第76回「エコ、最適化→重複排除→そしてオブジェクトストレージへ」
第77回「今年の初夢」
第78回「本命は誰だ。Suite製品との付き合い方。」
第79回「バックアップとアーカイブを区別するのはシステムではない。」
第80回「可用性の限界」
第81回「サービスインテグレーション」
第82回「データが正しいということ」
第83回「人生100年時代」

 
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