【新連載】ITアーキテクトのひとりごと
第12回 「レゴブロックの入れ物と化すデータセンター」

最近の大きな買い物は、マイクロソフトのTech Net Plus Directの契約更新と2.5インチの500GB-SATAディスクだ。500GBのディスクなんて、コンビニにちょっとお菓子を買いに行くくらいの感覚で、必要だな、と思ったが吉日、帰りにDOSパラに寄り道。お店に入って5分後には、ディスクと、それを入れるケースを買って店を出る。安くはない買い物(それでも1万円以下)だけど、ダメだったら棄ててしまえば良いので躊躇はない。

小さな2.5インチの500GBのディスクが100台あったら50TB。100台といっても大したことはない。3.5インチのディスクのスペースに、 2.5インチの薄型ディスクなら2台が入ってしまう。19インチラックに載せる1Uサーバでも少なくとも4台の2.5インチディスクが入るだろう。単なるファイルサーバなら適切な分散ファイルシステムがあればRAIDが無くても巨大なシステムが安価に作れる。今は、そんなツールも手に入る時代だ。良いツールがなければ自分で作ればいい。

たくさんのコンテンツを格納するためだけに高価なRAIDが必要な時代はもうすぐ終わりそうだ。大量コンテンツが格納されたシステムのバックアップも、まったく考え方を変える必要性が迫られている。CAS(Contents Addressed Storage)もそんな時代を先取りして登場したが、さらに進化する。

高価で巨大なRAIDを必要とする領域はどこだろう。企業の基幹システムのデータを蓄えるデータベースでは生き残りそうだ。"生き残る"なんて言うとジュラシックパークの恐竜のようだ。もう少し(多分、本当にもう少し)は、高価なRAIDに載ったデータベースが企業の中核を支えるが、RAIDという装置自身はソフトウエアの世界に飲み込まれる。RAID装置自身がソフトウエア的に進化しているんだから。NASも同じように進化する。

その先は何もかもがコモディティ化した装置ばかりで作り上げられたインフラストラクチャだけになってしまう。こうなると大事なのは、その上で動くアプリケーションだ。一時、SOAが騒がれたがすっかり下火になった(ような気がする)。きっと上手く行っていないんだろう、と勘ぐる。新しい技術が出てくると、何か難しすぎることを考えたくなるけど、難しいことを本当に上手くやれる人は少ない。難しいことを上手くやるにはアイデアとコンセプトが大事だが、そのアイデアとコンセプトを共有できるようなプロジェクトの規模も問題だ。

さて、コモディティ化したITインフラはレゴブロックのようになるので、巨大化しすぎた恐竜アルゼンティノサウルスのような社会保険庁のようなシステムでも、俊敏な恐竜ラプトルのようなシステムも自由自在だ。アイデアとコンセプトをデザインツールで描くと、自動化された管理システムがあっという間にシステムを構成してしまう。

データセンターは、そんなレゴブロックの入れ物だ。ITインフラの設計図を渡すと翌日にはインフラが出来上がっているような時が迫っている。

さあ、これからどうする! 生き残るには自己否定、自己改革が必要なことは間違いなさそうだが、その前に足りないモノは何? アイデアとお金、そして情熱と実行力。

無いものばかりだ。なかなか辛い。

JDSF データ・マネジメント・ソリューション部会
株式会社エクサ 恋塚 正隆
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