JEITAテープストレージ専門委員会コラム
「データストレージのライフサイクルとテープ」
2023年の現在、ITの世界ではデータライフサイクル管理という言葉を耳にすることも多いのではないでしょうか。大まかに言えば、データの生成から、使用、保存、廃棄までの各フェーズで適切なポリシーを適用することで、最適なサービスレベルでデータを管理する方法です。
カーボンニュートラルへの貢献という形で、データを保管する箱である、データストレージ自体のライフサイクルにおいて、あらためてテープの特長が見直されています。今まではストレージ使用中の消費電力やCO2排出量に注目されることが多かったのですが、今後はSDGs(Sustainable Development Goals, 持続可能な開発目標)という全世界的な課題への取り組みから、ストレージデバイスの材料や部品も注目されることになります。コンサルティング会社の調査例(注1)ではデータストレージのライフサイクルにおけるCO2e(CO2 equivalent, 二酸化炭素換算量)を HDD、LTO-8テープで比較しています。比較には材料、製造、梱包・輸送、使用、そして廃棄までの全フェーズのカーボンフットプリントを含みます。 その結果、テープはHDDに比べてCO2を95%削減しています。
また、終わりよければ...という諺がありますが、データストレージライフサイクルの最後、廃棄フェーズでもテープは注目されています。なぜならテープカートリッジはHDDに比べて、E-Waste(電子廃棄物)に関して利点があるからです。テープカートリッジはプラスチック、フィルムから構成されていますが、HDDは大量のアルミニウム、ガラス、磁気ヘッド、電子部品から構成されています。したがってHDDは特別な廃棄処理が必要になります。一方で、テープカートリッジのE-Wasteは数グラムのカートリッジメモリーのみです。
これらから、SDGs、ESG(Environment(環境), Social(社会), Governance(企業統治)を配慮に入れた事業活動)への貢献に、あらためてテープが脚光を浴びる日も遠くないな、と思いながら、資源ごみ出しする筆者でした。
注1: "Improving Information Technology Sustainability with Modern Tape Storage - Brad Johns Consulting, LLC – 2021"
一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA) テープストレージ専門委員会
http://home.jeita.or.jp/cgi-bin/about/detail.cgi?ca=1&ca2=292
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