JEITAテープストレージ専門委員会コラム
「低コスト・安心・安全なテープストレージを手軽に活用してみませんか」
ここ1~2年の間で、会社や学校などで、ICTを取り入れた新たな仕事の仕方、授業の進め方など、大きく世の中が変わってきました。
これによって、電子化されたデータ量も増加してきて、共有ストレージ容量が一杯になり、保存できなかったというような経験をした方も多くいるのではないでしょうか。
確かに、テレワークで電子化されたデータが増加してきたということもありますが、以前からシステム管理者にとっては、共有ストレージ容量の増加は頭を抱える問題でした。この問題が、急ピッチに進められたICT化でさらに加速して、問題が大きくなってきています。
急増するデータに合わせて、既存のストレージ機器にハードディスクなどを増設したり、新たにストレージ機器を追加したりして、容量を増やせば費用が膨大になってしまうからです。
なぜ、データが増えていくのでしょうか?ここで、容量が増える「あるある」を考えてみたいと思います。
思い当たる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
皆さんはパソコンで資料を作成するとき、どのような工程で資料を作成しますか?
例えば、役員などの上層の方への報告資料などでは、個人パソコンで資料を作成して、上司や関連する方々にレビューをしてもらう。そして、レビューした結果を反映して、ファイル名を変更して別ファイルとして修正する。
これを繰り返すことで、どんどん新しいバージョンのファイルが増加していきませんか?
また、古いバージョンのファイルも、レビューで戻されたりすることを想定して、共有ストレージに保管しておく、ということはないでしょうか?この行為は、データを共有のストレージに「バックアップ」していると言えます。
それ以外にも、画像の解像度が上がったりすることで、画像そのものや、画像を貼り付けた資料など、1ファイルあたりの容量も、年々増加しているのも共有ストレージを圧迫している要因とも言えます。
また、過去の大量の売上データやお客様情報を今後の戦略の参考にするために保管したり、ご退職になった方のPC内データも、その方のナレッジやノウハウを残すために、一旦、共有ストレージに保管したりしている方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。これらは、いわゆる「アーカイブ」という観点で、いずれ、使用する目的のために、共有ストレージなどに保管されます(されていることになります)。
さて、それに対して大体の企業では、共有ストレージの容量が圧迫しだすと、不要なデータを消去しろと指示されて、どれも消すことができない、判断できないといって困ったことが多々あったかと思います。
一般的には共有ストレージの70~80%は、このように「バックアップ」や「アーカイブ」用途で保存されたデータで、ほとんどアクセスはしないが、何かあった時のために保管されたデータとされています。
この問題を解決するのに、低コストで、安心・安全に、さらにお手軽に使えるストレージがあれば、と思ったことがないでしょうか?
このような時に有効なのが、LTOテープの利用です。
テープはハードディスクと比較して、省電力、大容量の観点で、低コストなストレージとして知られています。
低コストなのはよいが、テープでバックアップ、アーカイブというと、ソフトウェアの知識がないといけないとか、システム管理者によってデータを管理してもらわないといけないなど、使い勝手が悪いと思っている方が多くいるのではないでしょうか?
そんなことはないのです。
LTOの第5世代となるLTO-5からサポートされた、LTFS(Linear Tape File System)フォーマットです。
LTFSに対応したソフトウェアをサーバにインストールするだけで、テープを外付けのファイルストレージとして使用ることが可能になります。
クライアントからは、通常のネットワークストレージとして一般的なファイルブラウザを使用してテープ内のデータにアクセスが簡単にできるようになります。
例えば、個人PCのデータをバックアップやアーカイブしたいと思った時に、そのデータをドラッグ&ドロップで、簡単にテープにデータを「移動」または「複写」することが可能です。
このように、データの使用特性に合わせて、共有ストレージを構築することで、データ容量の増加に対応できるストレージが可能となります。
LTOテープは、1巻当たり18TB(LTO-9、非圧縮)ものデータを保管できます。
いきなり、テープライブラリを使用したストレージの大容量化を行うのは心配な方でも、サーバ等にUSBで接続できるお手軽なディスクトップ型のテープドライブもあります。まずは試したい方にもってこいの製品と言えます。
さらに、このLTFSフォーマットは国際標準規格として、ISOにも採用されています。これによって、LTO製品であれば、どのベンダーのLTO製品にも、テープを持って行って使用することが可能です。
これは、長期データ保管としてテープを考えた時に、ベンダーロックインの回避としても、大きなメリットがあります。
最後に、最近では、カーボンニュートラルという言葉が多く聞かれるようになりました。
テープは省エネ製品としてCO2の削減に大きく貢献できる製品です。これを機会に是非、このお手軽に使用可能で、省エネ、低コストのテープストレージをご一考頂ければと思います。
一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA) テープストレージ専門委員会
http://home.jeita.or.jp/cgi-bin/about/detail.cgi?ca=1&ca2=292
本内容にてご質問などございましたら、JDSF事務局経由でお願いいたします。
2022年9月「家族との会話からテープストレージについて考えてみました」
2022年8月「保存データの大容量化とテープストレージの関わり」
2022年7月「データセンターとテープストレージ」
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2022年6月「GX:グリーントランスフォーメーションとテープストレージ」
2022年5月「身近なところでのデジタルデータの増加」
2022年4月「最新テープストレージによるITサステナビリティ(持続可能性)の改善」
2022年3月「磁気記録の可能性 磁気テープの記録容量はまだまだ向上する」
2022年2月「低コスト・安心・安全なテープストレージを手軽に活用してみませんか」
2022年1月「大切な情報資産を後世へ引き継いでいくためには」
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