JEITAテープストレージ専門委員会コラム
「サイバーアタックとテープストレージ」
最近、金融機関をターゲットとした不正アクセスをはじめサイバー攻撃に関するニュースをよく耳にします。10月2日に公開された警察庁のデータによると、フィッシングサイトを使ったものとみられる不正送金被害が昨年から大幅に増加しており、また最近ではIoTデバイスを狙った攻撃も増えているとのこと。
さらに今年に入ってからは新型コロナウィルスの流行に便乗した攻撃や、テレワークを狙った犯行も相次いでいるようです。
このように多様化・巧妙化するサイバーアタックの脅威には、多層防御が必要であると言われています。
多層防御は複数の領域において多層的にサイバーアタックへの対策をとる手法で、不正アクセスやマルウェアの侵入を許さない「入口」対策、侵入を許した際に被害を最小化する「内部」対策、情報を外に持ち出させない「出口」対策を組み合わせることで実現します。
そのうち「内部」対策の一つとして、ランサムウェアによる暗号化やデータ改ざんに大変有効であるのがテープを使ったバックアップです。
テープメディアは取り出してオフライン保管が可能なため、物理的に分断した「エアギャップ」により不正な暗号化や改ざんからデータを保護することができます。オンラインシステム上のデータに改ざん等の被害が発生したときには、安全な領域にあるバックアップから正常なデータを速やかに復旧することが可能です。サイバー攻撃の手口が日々進化する中、すべての侵入を100%防ぐことは難しく、侵入を受けてしまった場合でもデータを復旧できるということは非常に重要であると言えます。
取り出して保管できるという点については盗難の心配をされる方もいらっしゃるかもしれませんが、テープメディアにデータを書き込むテープドライブには強固な暗号化機能が実装されていますので、これを使用することで万一盗難にあったとしても情報の漏えいを防止することができます。
コロナウィルスの流行が落ち着いた後も在宅勤務やテレワークは新常態として残ると言われています。多様な働き方が可能になる一方で、社内ネットワークと社外ネットワークの境界はあいまいになり、私たちは外から来る様々なリスクに備えていく必要があります。
これから先、新たな脅威への備えとしてテープストレージがとても有効な手段の一つになると私たちは考えます。
一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA) テープストレージ専門委員会
http://home.jeita.or.jp/cgi-bin/about/detail.cgi?ca=1&ca2=292
本内容にてご質問などございましたら、JDSF事務局経由でお願いいたします。
2020年9月「量子コンピューターとテープストレージ」
2020年8月「重要度を増す『ホットデータ』と『コールドデータ』」
2020年7月「成熟と先端を行く磁気テープの技術」
2020年6月「宇宙とテープストレージ」
2020年5月「新型コロナウイルス 緊急事態宣言下で改めて感じたデータアーカイブ」
2020年4月「変わりゆくテープストレージを取り巻く環境」
2020年3月「エアギャップセキュリティによる重要データ保護とデータ利活用」
2020年2月「3年目エンジニアが解説する,テープストレージを使ったSDS!」
2020年1月「未来のテープ」
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