JEITAテープストレージ専門委員会コラム

磁気テープはデータ記録面に塗布された磁性体をテープドライブの磁気ヘッドが磁化することでデータを記録します。LTOのデータ記録面はデータ記録領域である4本の帯「データバンド」とヘッドの位置調整に使用する5本の帯「サーボバンド」が交互に並ぶよう構成されており、データバンドにはユーザーデータを記録する複数の「データトラック」が密集しています。データトラックはテープの大容量化に伴い高密度化が進み、その本数は最新のLTO 8で合計6656 本にものぼります。データトラック1本あたりの幅はわずか1.56μmしかありません。この極めて狭いトラックに正確なデータ記録を行うことで、LTOはその大容量を実現しているのです。

では、LTOはどうやってこの狭いトラック幅に正確なデータ記録を実現しているのでしょう?正確な書き込みを実現するためには、磁気ヘッドが正確な位置決めを行い、高速走行するテープ上のトラックを脱線することなくトレースできなければなりません。わずかなテープのブレやヘッドの位置ずれが読み書きのエラーにつながってしまいます。そこで「サーボバンド」の登場です。
サーボバンドには磁気ヘッドの位置を微調整するためのサーボパターンが記録されています。LTOドライブの磁気ヘッド部両端にあるサーボヘッド部がデータバンドを挟む2本のサーボバンドからサーボパターンを読み取り、微細な位置調整を絶えず行うことで、高精度に磁気ヘッドを位置付けするのです。

かつてテープストレージにサーボバンドが採用されていなかった時代には、ガイドローラを使って物理的にテープの位置を強制することで走行中のテープをヘッドに位置付けていました。しかしこの方法ではテープを痛めてしまう問題が相次ぎました。
また過去にはドライブでテープを初期化する際にサーボパターンを書く方式もありました。しかし、書き込まれたサーボパターンの品質が良くないと、位置調整がうまくできずトラッキング性能の低下につながってしまいます。これは特にテープを取り出し、別のドライブ(サーボを書き込んだドライブではないドライブ)で読取りを行う際に大きな問題となっていました。
こうした点を解消するため、LTOではテープメディアの製造時にテープメディアメーカーがサーボパターンをサーボバンドへ書き込んでおり、ユーザーが使用する際サーボパターンを変更、消去することはできなくなっています。
このような工夫もあり、LTOは極めて高密度かつ正確なデータ読み書きを安定的に実現し、永く安全、安心にお使いいただけるようになりました。
今回ご紹介しました、「高記録密度を支えるサーボ技術」はJEITAテープストレージ専門委員会のホームページでより詳しい情報をご覧いただけます。
図解もあり、わかりやすく解説されておりますので是非一度ご覧ください。

・JEITAテープストレージ専門委員会ホームページ
https://home.jeita.or.jp/cgi-bin/about/detail.cgi?ca=1&ca2=292
・テープシステム技術資料 「第5章 ライト・リードの高い信頼性を支える技術 (PDF)」
https://home.jeita.or.jp/upload_file/20110908181338_5aQZ9DXF3N.pdf

本内容にてご質問などございましたら、JDSF事務局経由でお願いいたします。

 

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