JEITAテープストレージ専門委員会コラム
「消してしまったファイルを復元できる!? テープ用ファイルシステムLTFSの特徴」
LTFSの場合
Linear Tape File System(LTFS)は、テープ用に開発されたファイルシステムです。LTFSを用いることで、通常のHDDやUSBメモリのように、テープ上でファイルを読み書きすることができます。特に、テープが大容量のリムーバブルメディアであることから、大きなファイルをやり取りする際にLTFSは非常に役立ちます。
すると、「他の人から渡されたテープに保存されていたファイルを、うっかり上書きしてしまった」というようなことが起きるかもしれません。
LTFSで古いファイルを読み出す
LTFSでは、ファイルの名前やテープ上に書かれた位置などのメタ情報をインデックスと呼び、ファイルのデータ本体とともに、テープに追記式に保存していきます。追記式で保存しているため、古いインデックスと古いファイルのデータ本体は、上書きされずにテープ上に残されています。これは、テープを使ったファイルシステムである、LTFSの一つの大きな特徴です。
この特徴を使うことで、古いファイルを読み出すことができるのです。
実際に、LTFSを開発しているベンダーからは、古いインデックスを使ってテープをマウントするためのツールや仕組みが提供されていて、さほど難しい知識がなくても、古いファイルを読み出すことができます。
ファイルを復元するための大事なポイント
では、LTFSに書けばどんなときでも古いファイルに復元できるのか、というと、実はファイルを復元するためには大事なポイントがあります。
ファイルを保存した後にインデックスを保存することで、ファイルのテープ上での位置などのメタ情報が記録され、後からでも、その時点でのファイルを読み出すことができるようになるのです。つまり、インデックスを保存することが、ファイルシステムのスナップショットをとっているようなイメージになります。
そこで、LTFSを開発しているベンダーは、いろいろな実装やオプションを用意して、テープ・ドライブからテープを取り出すときだけでなく、一定時間に1回自動的にインデックスを保存したり、ファイルを書き終わるごとに自動的にインデックスを保存したり、と工夫をしています。
興味をお持ちの方は、いろいろなベンダーのLTFSを調べてみると面白いと思います。
他の人から渡されたテープのファイルは復元できるのか
先程の「他の人から渡されたテープに保存されていたファイルを、うっかり上書きしてしまった」という例では、通常、テープ・ドライブからテープを取り出す際には最新のインデックスを保存しているので、渡されたテープには渡された時点のインデックスが保存されています。
そのため、うっかりファイルを上書きしてしまっても、テープを渡された時点のインデックスを使うことで、上書き前のファイルを読み出して、元に戻すことができます。
一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA) テープストレージ専門委員会
日本アイ・ビー・エム(株) 長谷川 徹
本内容にてご質問などございましたら、JDSF事務局経由でお願いいたします。
2017年8月
2017年7月「ランサムウェアからのデータ保護で重要なこと」
2017年3月「テープドライブのパフォーマンス測定時の注意点」
2017年1月「消してしまったファイルを復元できる!? テープ用ファイルシステムLTFSの特徴」
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