JEITAテープストレージ専門委員会コラム
「ビッグデータは本当にビッグになるのか?
- IoT時代のPANって何? -
」
PAN(Personal Area Networks)とは何か?
文字通り個人の周辺のネットワーク、ほとんどの場合は自分の周辺のワイアレスデバイスをつないでしまおうという概念で、IEEE でもWireless Personal Area Networks (WPANs)のワーキンググループがある( IEEE 802.15)。 特によく聞くのはBluetooth通信デバイスだが、今後はいくつかの異なる通信プロトコルのものが相互につながることが期待される。Wi-Fiなどより低帯域で使えたり、コスト的にも、消費電力的にもメリットは高そうだ。
何に使えるか?
仕事で使うラップトップPCから、一般的なタブレット、モバイルフォンやスマートウオッチ、最近はやりのウェアラブル端末なども、この通信規格で相互通信が可能になるだろう。ゲーム市場では有名なバーチャルリアリティが体験できるオキュラス等も接続できるだろう。ウェアラブルを連携することでよりリアルな仮想体験(バーチャルリアリティ)も可能になりそうだ。例えばバーチャルグローブなんてものを使えば、あたかも存在しないものをつかんだ気分になれるかもしれないし、脈拍数をモニターして過激な画像をマイルドに変更することもできるかもしれない。
このバーチャルリアリティモジュールは医療現場でも使えそうだ。患者にもありったけのウェアラブルセンサーが取り付けられていて、刻一刻と変わる健康状態なども手に取るようにわかるし、遠隔手術をするにしても大画面に高解像度の手術画面を映し出すよりも現実的で、低コストで済む。医療実習なんかも将来手術室ではなく、教室で全員がオキュラスをかぶって行うなんてこともありえるだろう。
家庭の日常生活でも使えそうだ。例えば帰ってドアの前に立つと鍵が解除され、電気が点灯、テレビも見たいものを自動的に選択してくれる。冷蔵庫の近くに行くと、ウェアラブルからの情報で飲みたいものをチョイス、リコメンデーションしてくれる。データセンターにつながなくても、自分の周りだけでビッグデータが回りだす。スマートフォンみたいな端末にAIが実装されるのもそんなに遠い話ではなさそうだ。
パーソナルネットワークから生まれるパーソナルな体験アルバム
身の回りのデバイスをつないでいろいろなことができるのもあるが、ウェアラブルがつながると、その時の体験をまとめて記録しておいて、後から再体験するということもできるかもしれない。または、その人しか体験できなかったことが、世界中だれでもが体験できるようになってもおかしくない。例えば火星に行った人の体験。360度のパノラマ画像をバーチャルリアリティで見ることができるし、気温や湿度、匂い(とはいってもヘルメット越しだろうが)場合によっては火星の大地を踏み締めた時の感触までもが体験できる。こんな個人の体験を多くの人ができる時代になると、この体験コンテンツは映画以上に大量になりそうだ。YouTubeには体験パッケージがアップロードされるようになり、多くの人がストリーミングでこれらを体験できる時代が来るのかもしれない。
日本ヒューレット・パッカード(株) 井上 陽治
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