JEITAテープストレージ専門委員会コラム
「ビッグデータは本当にビッグになるのか?
- つながる車、IoVからのデータはどれくらい? - 」

 

2025年には100万台の車がインターネットにつながる

2015年の自動車出荷台数は9000万台を超え、2018年には1億台を超えると見られている。一方 2020年には世界の75%の自動車がインターネットにつながるといわれているのだが、それはすなわち、7500万台がインターネットにつながるということを意味する。
それでは、1台の車からどれくらいのセンサーデータが生成されるのか? 最近ではGPUを搭載する自動車メーカーもあるくらい、現代の自動車のセンサーデータはかなりな量だ。 中には1時間に25GB生成されるものもあるようだが、次世代ではこれの10倍、250GBものデータが1時間に生成されるという。仮に25GB/時間としても年間にすると220TBものデータが1台から生成される。 これが2020年、インターネットにつながる7500万台すべてのデータを集めようとすると、年間16.5ZB(ゼッタバイト=1000000ペタバイト)にもなる。以前IDCのレポートで2020年にはデジタルデータが44ZBなるといわれていたが、自動車だけで約1/3を生成してしまうほどの規模だ。

 

データセンターでは賄いきれない?

さてこの中のどれくらいがデータセンターに保存できるのだろうか? 仮に保存できたとしてもコストは途方もない金額になるだろう。さらに電力の問題もある。コールドデータセンターの建設が後を絶たないが、いくら省電力でもデータはどんどん増えている。世界中のパブリッククラウド用データセンターの総電力は、日本全体の消費電力量に匹敵するといわれている。国家レベル、其れも世界トップレベルの経済国の消費電力量は半端ではない。しかしながら一方では自動運転の更なる安全性確保の観点からも、これらのデータはできるだけ多く採取したいという要望もあるだろう。さらにそれら生データを加工したデータが次々に生成され、それもある期間は保存されることが予測される。「バイト」という単位を一気にデノミしないと間に合わないくらいなのだが、それを解決する新しいアイディアが出てきた。

 

道端クラウドという考え方

道路は非常に重要な社会インフラであり、当日配達サービス等が実現できるのも、この道路インフラのおかげである。この道路にそって備え付けられている信号機やカメラ、さまざまなセンサーはネットワークで結ばれている。つまり道路わきの「道端」ネットワーク自体が巨大な国内最大級の通信ネットワークにもなりえるし、この道端のセンサーにメモリーやCPU、はたまたプログラム可能なプロセッサー(FPGA)などが普通に実装されるようになれば、その「道端」ネットワークが、「道端」クラウドにもなりえるのではないか? こんなアイディアがIEEEから出てきているからかなり現実味を帯びている。
今後本格的IoT時代を前に、エッジサーバーのようなものが数多く出現してくるだろう。これが道端にも、電力線端にも、線路端でも、さらには無線である自動車ネットワークにも実装されるようになる日も、そう遠くはないだろう。そうなると巨大データセンターは、恐竜時代が終わりを告げたように消えていき、今度は規模の小さいものが乱立する時代が来るのかもしれない。

一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA) テープストレージ専門委員会
日本ヒューレット・パッカード(株)  井上 陽治
1時間に25GBのデータがクラウドに!?

The Internet of Vehicles (IoV) will revolutionize the way people get from Point A to Point B. It's predicted that by 2020, 75% of the world's cars will be connected to the internet, and according to some analysts, the self-driving car market will pass one million vehicles by 2035. The irony, though, is that the Internet itself could be a roadblock to making IoV a reality.

2035年には自動運転自動車が100万台を超えると見られている。
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