JEITAテープストレージ専門委員会コラム
「ビッグデータは本当にビッグになるのか?
人工衛星からのデータはどれくらい? 」
最近の異常気象もあってか、気候変動に関しての関心が再度高まりつつあるようだ。地球環境データの測定方法の一つとして、衛星による画像データがある。以前スタートアップによるトースター大の超小型衛星の話題を取り上げたが、やはり王道は国家やEUのようなレベルでの長期的なプロジェクト、そ存在は大きい。今回取り上げたのはコペルニクスプログラムと呼ばれる欧州宇宙機関(ESA)主導のプログラムで、2015年の予算は6000億円に達する勢いだ。さらに年々予算は増加し続けている。
衛星の画像データの容量は?
ヨーロッパ宇宙のSentinel-2B衛星が打ち上げられ、2A衛星の双子衛星となるのは来年になるようだが、 この双子の衛星がスキャンする地球表面画像データの容量は、年間2ペタバイトになるという。それらのデータはほぼ永久的に保存される。2台の観測衛星で2ペタバイトとあまり大したことはないように思われるが、コペルニクスプロジェクトでは現在30個の衛星までを視野に入れているという。つまり年間60ペタバイト以上、センサーの種類の増加、メモリーの容量の増大、通信速度の高速化により、容量はが増え続けるのは間違いない。実は今までに打ち上げられた衛星の数は公式なものだけでも3000個以上あるが、今後もその数は増え続けると予測される。北米、さらには中国も多くの衛星を打ち上げると考えると、年間数百ペタバイトのデータが地球に送られ、永久的に保存されるとも考えられる。日本の場合でも2030年には衛星サービスだけでも25兆円を超え、200個の衛星が打ち上げられると見られている。これは今後15年程度で約2倍の伸びである。
衛星からの通信バンド幅は?
以前の記事で、商用衛星画像の解像度が25cmまで緩和されたということを説明したが、軍事用にはその2倍以上の解像度のデータが問題なく転送されるのだろう。さらに高解像度になることもほぼ間違いないが、その場合、データ転送速度も重要である。現在の一般的な通信技術は電波なのだが、周波数帯域幅は限られていたり、SN比の問題があったり、何らかのブレークスルーが必要だろうと思われる。現在有力なのはレーザーだ。2020年には107bps近くのデータ転送が可能になるとみられている。ハイビジョン画像が衛星から転送できるスピードである。
もちろん宇宙のゴミ対策も必要であるが、最近は打ち上げ前に衛星のライフサイクルを考慮して宇宙のごみが発生しないようなガイドラインもあり、今後も衛星の数とともに、データ量も増えていきそうだ。いつかは衛星にデータをバックアップ、アーカイブする時代が来るかもしれない。地球規模の災害発生時には最も安全な場所だからである。
日本ヒューレットパッカード(株) 井上 陽治
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