JEITAテープストレージ専門委員会コラ
「ストレージ界のトリプルA Active Archive Alliance」
IT予算の削減、際限なく増大するデータ、そしてそれらのデータの保存期間の延伸への要求によって、より低コストで長期保管に適したストレージが注目されるようになってきた。
アクティブ・アーカイブとは、長期にアーカイブされているデータの、簡単なオンラインアクセス、検索性、読み取り、そして仮想的に無限大の容量拡張性を可能とする技術である。それ以外にも、最適なデータ管理を行うために、フラッシュ、HDD、テープ、光ディスク等の様々なストレージデバイス間のデータ移動を実現し、さらにはクラウドへのデータ保管も可能にするオブジェクトストレージプラットフォームにも対応することによって、ユーザーから見ればハードウェア依存の無いダイナミックなデータの移動が可能なのである。
これはつまり、長期データ保管の最大の悩みの種であった、ハードウェアの寿命の短さと、データ保管期間の長さのジレンマを一気に解消することができるということなのである。それを実現するアクティブ・アーカイブ技術とは、ユーザーの使用環境に何の影響も与えない状態で、データをストレージデバイスから開放し、シームレスに安全に、継続的に保存し続けることを実現した技術である。
さて、当然大容量低コストが要求される最終ティア(階層)のデータはテープに保存される機会が多くなるわけだが、LTFSの出現は、これらアクティブ・アーカイブソフトウェアベンダーから見れば、まさに渡りに船だったのではないか。今まで独自のメタデータで管理されていたテープが、ファイルと同じように扱えるようになったのであるから。
アクティブ・アーカイブの5つの利点:
・大容量: ペタバイトクラスのデータを、異なるベンダーの異なるテクノロジーのデバイス間で自動的に移動が可能。
・低コスト: データを自動的に高コストのストレージから、低コストのストレージに移動するため、低い管理コストを実現すると共にデータ保存コストも劇的に低減できる。
・アクセス性の高さ: もちろんデータがどこに保存されていても、直接アクセスができ、データが取り出せる。
・クラウド対応: 簡単に低コストにデータを保存する方法の一つとしてクライドサービスがあるが、クラウドを数あるストレージプールの一つとして使える。
・長期マイグレーション: 自動的にデバイス、テクノロジーのアップグレードにあわせてデータをマイグレーションできる。もちろんベンダーロックイン対策にもなる。
アクティブ・アーカイブは、ここ数年で注目されはじめてきた概念で、この技術を推進しているのがアクティブ・アーカイブ・アライアンス(Active Archive Alliance)、通称AAAである。
AAAはベンダーニュートラルな団体で、ファイルシステム、アプリケーション、クラウドストレージ、大容量テープ、ディスクストレージのベンダーおよびユーザーが参加している。AAAは2010年に設立されて以来、今年で3年目を迎えるが、昨年の参加メンバーは70%増加した。アクティブ・アーカイブはまさにストレージ界のトリプルA(AAA)ランク銘柄なのである。
日本ヒューレットパッカード(株) 井上 陽治
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