耳寄り資料室

【特別寄稿】光ファイバケーブルの構造、光パルス信号の伝播について

このメルマガの読者の方々は何らかの形でファイバチャネル技術に携わっていると思います。 そこで今回は皆様がよく目にする光ファイバケーブルについて簡単に説明します。実際にはサーバ、外部記憶装置、FCスイッチ、ルータを接続するために光ファイバケーブルが使われています。

 ところで、ファイバチャネルとは高速デジタル伝送方式を定めた標準です。高速デジタル伝送でファイバチャネル機器の相互接続(ネットワークを構築)する際のインターフェースの一つです。世の中にはファイバチャネルだけでなくSCSI、iSCSI等の様々なインターフェースがあります。よって、他のインターフェースと同様に階層があります。 ファイバチャネルは図1のような階層構造で成り立っている。光ファイバケーブルはこの階層の中のFC0層で規定されています。FC0層はメディア層とも呼ばれています。このFC0層の中のFC-PHでデータ伝送メディアと速度、伝送距離、コネクタ等を規定しています。興味のある方は一度Fibre Channel Physical Interface 2 (FC-PI-2)をご覧ください。

 光ファイバケーブルと言っても、光パルス信号の伝播の仕方でシングルモードとマルチモード、ステップインデックスとグレーテッドインデックスがある。光ファイバーケーブルのカタログ等をみると構造で50/125とか62.5/125というような記載があります。さらに、光ファイバケーブルの両端についているコネクタにはSCタイプ、LCタイプ、MT-RJタイプ等があります。でも恐れることはありません。接続する各機器の取扱い説明書のインターフェース部分のところに「マルチモード・LC」と書かれていたりするので良く取り扱い説明書を読んでいれば問題はありません。

 それでは光ファイバケーブルの構造から説明します。図2のようになっています。簡単に言うとコア層と屈折率の違うクラッド層から成ります。コアとクラッドは石英ガラスでできています。その上に保護層のバッファがあります。その上に外部応力に耐えられるようにケブラ繊維がある。そして我々が目にしているジャケットがあります。これらの保護層で守られているが所詮コア層とクラッド層は石英ガラスで出来ています。大きな荷重をかけないこと。足で踏んだり踏むことが発生しそうな配線は止めましょう。無理に曲げたりすると石英ガラスは簡単に折れます。最小曲げ半径が規定されている理由の一つです。取扱いには十分注意しましょう。

 次に光パルス信号の伝播を考えます。電気信号から変換された光パルス信号が光ファイバケーブルのコア層に伝播することです。ここでは現在一般的なマルチモードGI型(グレーテッドインデックス型)光ファイバケーブルを例にとります。光パルス信号の伝播の仕方は図3のようになります。ただし、これは説明を安易にするためにしたモデルです。実際には光パルス信号のファイバケーブルのコア層での伝播は2次元で表すことはできません。正確には3次元で表すことが必要です。コア層とクラッド層で屈折率が違うところがミソです。コア層を伝播する光パルス信号は屈折率の違うクラッド層で反射します。これを繰り返しています。但し、光パルス信号の入射角が浅いほどロスが少ないです。(人間が水の中に潜って空中を見上げた時の原理と同じです。水と空気の屈折率の違いによって空中が見えない、あるいは見え難くなります)これが反射です。したがって、光パルス信号はロスすることを考える必要があります。ロスは実際にはビットエラーなどの現象で表れてきます。そこで「FC-PH」では伝送速度と伝送距離の規定が生じてくるわけです。この規定を守らないと発信側が正しい光パルス信号を発信したにもかかわらず受信側が正しく受信できないということが生じます。

今回は光ファイバケーブルの構造、光パルス信号の伝播について説明しました。ご理解して頂けましたか? 尚、FC-PIではメタルケーブルについても規定しています。現在の2GFCから将来は4GFCそして8GFC、10GFCと発展していくことが予想されます。FC-PIでもそれぞれに対してメディアとコネクタを規定しています。
図1.FC階層
図1.FC階層


図2.光ファイバケーブルの構造
図2.光ファイバケーブルの構造



図3.光パルス信号の伝播例
図3.光パルス信号の伝播例