• ・ファイバチャネルは1ギガの通信速度をサポートします。実際のパフォーマンスについて教えて下さい。

    ファイバチャネルは、最大で1.062Gbps,すなわち100MBバイト/秒の伝送速度をサポートします。これはフルスピードのインターフェースのリンクレートです。ファイバチャネルのアダプタは、リンクレートで、2048バイトのフレームをバーストすることができます。フレーム処理のオーバヘッドをはじめとする設計上のトレードオフ及び、ホストのPCIバスのインターフェースのバースト能力、システム構成、トラヒックの特性、ファブリックやループなどの接続形態をはじめとするシステム的制約があり、最大限のフローの維持には限界があります。

    遅延もパフォーマンスの目安になります。ハイパフォーマンスなクラスタリングの環境においては、バッファツーバッファのレーテンシーは、パフォーマンスに重大な影響を及ぼします。1個のノードから別のノードにデータを伝送する為にかかる実際の時間は、分配されたロックマネージメントのアルゴリズムが、リソースのオーナーシップを確立する時間に節約を与えます。ファイバチャネルで提供される卓越した低遅延は、ホストのDMAとハードウェアのプロトコル処理の密接な連携により提供されます。

    TCP/IPの環境では、ホストのシステム上で改良されていないプロトコルスタックが使用された場合には、プロトコルスタックのオーバーヘッドが、パフォーマンスの限界となる場合があります。

    ファイバチャネルASIC内のプロトコルアシストは、ホストドライバにおいては、膨大なオフロードを提供します。しかし、フレームが小さい場合には、このアシストは透過ではありません。つまり、フレームサイズが大きければ大きいほど、メガバイト/秒で計測されるパフォーマンスは、向上するというわけです。最大のパフォーマンスを得る為に、できるだけ大きなシーケンスにプロッキングして、データ伝送を行うことをお奨めします。

    正しい認識及び、理解不足により、ホストバスが、パフォーマンスの低下の原因になることもあります。例えば、PCIアダプタのパフォーマンスを向上させる 為には、大きなPCIのバーストサイズでの稼働が必要です。PCIに関する、パフォーマンスに影響を与えるその他の要因として、以下の要因が挙げられます。

    - PCIバスの接続及び、伝送のオーバヘッド ― Grant ターンアラウンド,Host Mem Reads,バーストサイズへのReqによって発生するレーテンシー
    - PCIバスのローディング ― アクティブなコントローラを搭載するPCIスロットの数(BusリクエストからGrantへの時間に影響を与える。)
    - PCIバスのローディング ― PCIバス上のHost CPUのアクティビティ
    - ホストデータプロッキング  ― Quad ― 大きなバーストサイズを利用する為の、ワードアドレスアラインメント及びデータのブロッキング
    - PCIのキャッシュラインサイズ及びキャッシュコマンドのサポート
    - PCIのブリッジチップによる制限及びブリッジチップの設定
     
  • ・ファイバチャネルのGLMについて説明して下さい。

    GLMはGigabit Linking Moduleの略で、ジェネリックなファイバチャネルのトランシーバのユニットです。このユニットには、ほとんどのシステム上でのファイバチャネルのメディアインターフェースのイントールに必要とされる、重要な機能が統合されています。ドータカードのインストールを簡素化する、FC-0のフル機能が搭載されています。多数のファイバチャネル製品及びバージョンの開発のプロセスを合理化することを目的として、ファイバチャネル開発当初に、標準に準拠するユニバーサルなモジュールの仕様が開発されました。例えば、オプティカルGLMとカッパGLMは、多数のベンダーのファイバチャネルアダプタカード上で交換することができます。トランスミッタオプティクス,レシーブオプティクス,ドライバ,クロック,データリカバリ,シリアライザ,デシリアライザ,レーザ安全機能を搭載しています。
  • ・ファイバチャネルは、多数の共通ネットワーキングプロトコルをマッピングします。このしくみについて説明して下さい。

    ファイバチャネルは、MAC層(ISOレベル1)のプロトコルを規定します。全てのISOレベル2層のプロトコルが、MAC層のプロトコル上を走ります。たいていのネットワーキングのプロトコルスタックにおいては、データパケットもしくはデータグラムの概念は、ダイレクトにファイバチャネルのシーケンスにあたります。シーケンスはフレームにセグメント化され、ファイバチャネルのファブリックを介して伝送されて、リアセンブルされた後に、リモートのレベル2プロトコルに配送されます。

    IP,SCSI,HIPPI及びATMは全て、ファイバチャネルの物理層のプロトコルにマップします。


  • ・ポートとは何ですか?またどのようなポートがあるのでしょうか。

    ポートとは、コネクタであり、ファイバチャネルのリンクの片端のサポーティングロジックです。各ポートは、少なくともトランスミッタ及びレシーバを搭載しています。また、ほとんどのポートがコントローラを搭載しています。ファイバチャネルの各ポートは、ネットワーク上の他のポート全てに対して、リピータとして動作します。ファイバチャネルのポートは、各トポロジの標準的な方法で伝送を行います。これにより、ファイバチャネルは、インタートポロジ接続をサポートします。

    トポロジによってポートの名称が決まっています。LポートもしくはNLポートは、アービトレイテッドループを意味します。Fポートは、スイッチのポートです。FLポ ートは、スイッチの接続ポートに接続されるアービトレイテッドループを意味します 。
    (現状ではアービトレイテッドループは最大で127個のノードをサポートします)


  • ・2個のノードを一緒にダイレクトに接続することは可能ですか。

    ファイバチャネルでは、2個以上のノードをダイレクトに接続することができます。1個のFC-ALトポロジ内では、最大で127ノードのポートが同時にアクティ ブでありえます。127という数字はアドレスによる制限によるものです。


  • ・ファイバチャネルのループ上でノードの電源を落とす、あるいはノードの接続を切断するとどうなりますか。

    ノードがループトポロジ及びポイントツーポイントトポロジ上で、他のノードにダイレクトに接続されている場合と、コネクタあるいはスイッチに接続されている場合とでは生じる結果が異なります。FC-ALでは、ポートは、ファイバチャネルの各ノードが接続された他の全てのノードに対して、リピータとして動作しますから、1個のノードがダウンするとループ全体がダウンします。FC-ALにおいてこれを回避する為には、PBC(Port Bypass Circuit)の使用をお奨めします。PBCは基本的には電気スイッチで、PBCの使用により、バイバスを形成して、ノードとループを電気的に切り離すことができます。また、PBCを使用することにより、ループ上のトラヒックすなわちデータ伝送に影響を与えることなく、デバイスの電源を落としたり、ノードの接続を切断することができます。

    ノードの電源を落とした場合と、ノードの接続を切断した場合とでは、ノード間の距離によって、生じる結果が異なる場合があります。FCループ上にノード1~3があり、ノード1とノード3の間にノード2が接続されているとしましょう。ノード2の電源が落ちた場合(ノード2は接続されている状態)、ノード1とノード3間のケーブル長がスペックの最大ケーブル長を超えていない場合に限っては、ノード1から送信される信号は、ノード2を経由して次のノードに送信されます。しかし、ノード間の接続距離がスペックの最大ケーブル長を超えている場合には、ループはダウンします。

    PBCを使用していない状況で、ノード2の接続が切断される、あるいはケーブルに障害が生じた場合の結果は、ノードの電源がダウンした場合と比較して明確です。この場合には、ノード間の信号の送受信はできなくなり、ループはダウンします。

    ファイバチャネルのノードがコンセントレータを介して接続されている場合に、ノードに障害が生じた場合には、コンセントレータが作用して、ループ上の通信を維持します。つまり、障害をもつノード2を迂回して、ノード1とノード3間でダイレクトに信号を伝送することにより、ループ上の通信を維持します。


  • ・ファイバチャネルでは2本のケーブルを使用しての冗長構成が可能と聞きました。これについて説明して下さい。

    ファイバチャネルのシステムの完全な冗長構成の1方法として、2個の独立したループをはる方法があります。このケーブリングの方法では、完全な冗長性をもつハードウェアに対して、2個の独立したデータ路を提供することができます。ほとんどのディスクドライブ及びディクスアレイが、環境への有効な対応に照準をあてており、2個のポートを装備しています。
  • ・完全な冗長構成をとる事が難しい場合、弾力的なシステムを構築するための別の方法はありますか。

    ハブもしくはコンセントレータを介してアービトレイテッドループの配線をはることにより、ダウンしたノードと、ループ上の残りのノードを独立させる、つまり 残りのノードの正常な動作を確保することができます。


  • ・ファイバチャネルのノードは、コンセントレータに接続する為のポートを搭載している必要がありますか。

    あるいは、ノードを相互に接続することが可能なのでしょうか。 ポイントツーポイントトポロジにおいては、ファイバチャネルのノードを相互にダイレクトに接続することができます。また、ファイバチャネルのノードは、コンセントレータもしくはハブを介して、接続することが可能です。ファイバチャネルのノードは、ファイバチャネルのループ上の各ノードに対して、リピータとして動作しますから、1個のノードの電源ダウンや、接続の切断はループ全体のダウンにつながります。多数のファイバチャネルネットワークにおいては、障害のあるノードを自動的に迂回する機能をもつコンセントレータが必要不可欠なツールと言えます。

    アービトレイテッドループに接続された、ディスクサブシステム及びRAIDサブシステムでは、サブシステム上の各デバイスもしくはノードに適切なPBCを搭載することを強くお薦めします。これにより、障害のあるノードの迂回及び、デバイスのホットスワッパブル機能が提供されます。PBCを搭載することにより、デバイスに障害が生じた場合でも、障害のあるデバイスを自動的に迂回することができますから、支障なく、データの正常な伝送を行うことができます。

    ファイバチャネルは、周辺機器接続の機能において、特長的であり、周辺機器における新しいパラダイムを提供します。コンセントレータを介しての周辺機器の接続は、ファイバチャネル独自の概念とは言えませんが、周辺機器をネットワークに接続する場合には、ネットワークに接続された周辺機器の正常な動作をプロテクトすることが必要です。周辺機器のネットワーキングにおいては、冗長構成やコンセントレータが 必要なのです。
  • ・コンセントレータを使用するメリットとデメリットについて教えて下さい。

    メリットとして、フォルトトレランスがあげられます。ファイバチャネルの各ノードは、ファイバチャネルネットワーク上の他のすべてのノードに対して、リピータとして動作します。ですから、たとえば、1個のノードがダウンした場合には、ループ全体がダウンしてしまいます。他の多数のファバチャネルのアプリケーションの動作をプロテクトする為には、コンセントレータが不可欠です。コンセントレータを使用することにより、自動的に障害のあるポートを迂回することができますから、障害を最小限に食い止めることができます。また、コンセントレータを使用することにより、物理的な優位性が提供されます。配線が容易な、スター型及びツリー型のトポロジが採用されるケースが多数あります。概してコンセントレータを使用してのスター型の構成では、トラブルシューティングが容易です。ループ全体に大きな影響を与えることなく、ステーションを切り離すことができます。そして、コンセントレータが、新たに接続されたノードや切断されたノードを含めて、自動的にファイバチャネルループの再構築を行います。改めてケーブル配線を行う無駄な時間を省くことができます。

    コンセントレータを使用するデメリットは、コンセントレータに障害が生じるケースです。冗長構成は、コンセントレータ内に構築されるか、もしくは完全な冗長構成をとるケーブリングを使用して構築されます。そして、コンセントレータはこのケーブルに接続されます。コンセントレータの導入のコストもデメリットと言えるでしょう。